距離はゆっくり増やす
走ることで起きるけがの最も多い原因は、強度ではなく急な距離の増加です。週の合計距離は前の週より少しずつだけ増やし、3〜4週に1度は距離を落とす回復週を入れます。体が耐えることと回復することは別の問題で、無理に積んだ距離は大会前にけがとして返ってくることが多いです。
完走は数か月の走行距離で決まります。距離の増やし方、1週間の組み立て、ペース設定、補給の練習、大会直前と当日のチェックリストをまとめました。
走ることで起きるけがの最も多い原因は、強度ではなく急な距離の増加です。週の合計距離は前の週より少しずつだけ増やし、3〜4週に1度は距離を落とす回復週を入れます。体が耐えることと回復することは別の問題で、無理に積んだ距離は大会前にけがとして返ってくることが多いです。
毎日同じ距離を同じ速さで走るより、役割の違う練習を混ぜるほうがよいです。距離の大半は会話ができる速さで埋め、速い練習は週に1〜2回に限ります。長い距離の練習の日に、大会で着る服と靴で走ってみるのもよい練習です。
大会でいちばん多い失敗は序盤の突っ込みです。人が多く雰囲気に押されて普段より速くなりますが、そこで稼いだ時間は後半に何倍にもなって失われます。練習で出た記録から目標ペースを決め、最初の数キロはむしろそれより遅く入るほうが結果が良くなります。時計のペース表示はビルのあいだやトンネルで大きくぶれることがあるので、区間の記録と体の感覚をあわせて見ながら調整します。
長い距離では途中で水分と炭水化物を補う必要があります。何をいつ取るかは人によって合うものが違うので、ロング走で先に試しておきます。大会当日に初めて口にするものは、胃腸が不調になる危険があります。靴や服も同じで、新品を当日に下ろすと靴ずれが起きやすくなります。とくに暑い日の大会では汗で塩分も多く失われるので、長い距離の練習で塩分を含む補給食もあわせて試しておくとよいでしょう。
最後の数週間は距離を減らして溜まった疲労を抜くのが定石です。不安で走りたくなりますが、この時期の追加練習は記録を上げず疲れだけが残ります。睡眠を十分に取り、前日は軽く体をほぐす程度で終えます。
初めての大会なら、距離を欲張らないことが何より大切です。ふだんから走る習慣がある人を基準にしても、5キロと10キロは数週間から二、三か月、ハーフはそれより長く、フルマラソンは数か月の準備が一般に勧められます。走り始めて日が浅いなら、5キロや10キロの大会から始め、大会の雰囲気とペース配分を経験してから次の距離に進む順番が安全です。
大会当日の失敗は、たいてい準備不足ではなく、ふだんと違う行動から生まれます。朝食はいつも長い距離の練習の前に食べているものを、スタートの数時間前にとり、初めて見る補給食は受け取りません。スタート前はトイレの列が長いので余裕をもって到着し、肌寒ければスタート直前まで捨ててもよい上着を着て体温を守ります。給水所ごとに少しずつ飲みますが、渇いていないのに無理にたくさん飲む必要はありません。体に異変を感じたら記録より体を優先し、コースの各所にいる救護スタッフにためらわず助けを求めてください。
ゴールした直後は、すぐに止まって座るよりゆっくり歩いて体を冷まし、水とともに炭水化物とたんぱく質を含む食べ物をとります。フルマラソンを走ったなら、筋肉や腱の細かな損傷が回復するまで時間がかかるので、一週間ほどは軽く歩くか休み、その後数週間かけて距離を少しずつ戻します。走り終えた高揚感のまま次の大会の練習を始めるのは、けがへの近道です。長距離走は心臓に大きな負担をかけるので、心血管の病気がある場合や家族歴がある場合は、準備を始める前に医療の専門家に相談してください。練習中や大会中に胸の痛みや強いめまいがあれば、すぐに止まりましょう。